選択をクリアする
STEP 1:政策テーマを選んでください(いくつでも可)
STEP 2:政党を2つ選んでください
総評
あとから検証も評価もできない選挙の時だけの口約束(口約)ではなく、政権を獲得したら実行し、成果やプロセスを国民に共有する説明責任を果たすため、事後検証可能な要件を満たした公約のことをマニフェストと呼んでいる。マニフェストは「はっきり示す」という意味がある。
そのマニフェストで重要な要素は「ビジョン」である。日本がどのような国になれば良いと考えているのかという「国の将来像」(ありたい姿)を示すことが最初に求められる。ありたい姿を実現するためにどのような政策を講じていくのかということが示されていてほしい。
今回、ほとんどの政党に「ビジョン」を見つけることが出来なかった。政策のリストが並んでいるだけで、何故この政策を実施するのか、実施すると将来どうなるのか等の展望が見えないまま、耳障りの善い政策が並んでいる場合が多い。そして、財源根拠を示すわけでもなく、仕組みや構造、制度を変えるでもなく、現在あるものに微調整を重ねて実現させようと考えているようだ。選挙期間中には、ビジョンや政策実施の背景なども有権者へ届ける工夫をお願いしたい。
今回、「物価高対策」「減税策」が多くの政党で中心的な政策となっているが、有権者には、民間サービスが提供するwebサイトでの政党相性診断(ボートマッチ)等も活用し、「くらべてえらぶ」投票行動を期待したい。
むすびに、国民が喜びそうな目先の短期的な人気取りではなく、「苦い薬」も含んでこそ信頼できる約束としてのマニフェストは役割を果たす。その点でも、無責任な内容が並んでいると言わざるを得ない。加えて、苦い薬の必要性に共感し、マニフェストの実効性を求めていくことも「選ぶ側の責任」として、有権者の姿勢が変わっていく必要があることも指摘したい。
評価項目は下記の通りです。
-
- 理念・ビジョン
ありたい国の姿(理念・ビジョン・将来像)が示されているか / ありたい国の姿の根拠・着眼点が示されているか / 国家としての課題が捉えられているか - 政策の体系性・一貫性・独自性
ビジョン・方針・政策が体系化されているか / 相互に矛盾する内容が無定見に盛り込まれていないか / 独自の政策が示されているか - 政策の具体性
政策の目標・期限・実現方法(工程)・財源などが明示されているか / 達成度・成果の事後検証は可能か - 政策の実現可能性
目標・政策の実現可能性について、合理的な説明がされているか / 実行体制・実行プロセスは示されているか - 市民起点度
読み手に取ってわかりやすい工夫はされているか / マニフェストの配布・周知の工夫はされているか / 策定過程において国民の提案を組み込むプロセスを有しているか
- 理念・ビジョン
点数算出:◎20点 / ○10点 / △5点 / ×0点で総合点を算出しています(100点満点)
早稲田大学総合研究機構と包括連携協定を締結している崇城大学(熊本市)IoT・AIセンターと連携した講義「異分野イノベーション」の中で、学生の視点で各党マニフェストの「できばえ」を分析するワークショップを実施しました。
「理念・ビジョンチーム」、「政策の具体性チーム」、「政策の実現可能性チーム」、「市民起点度チーム」の4チームに分かれチームごとに基準に沿って、10政党のマニフェスト現物を分析しました。
総合コメント
どの党も全体的にどのような未来を目指すのか、というビジョンがなかった。政策目標があってもそれがビジョンと繋がっていない。また、政策目標に対する期限が明示されている政党が少なく、書かれている政策を実施するための体制や人材、ルールの整備などの言及がないため実現可能性を想像することができない。政権与党はどちらかというと党内や近くの人々で完成させたようなイメージを持ったが、新しい政党などは市民との連携を意識して作ったことがマニフェストから感じ取ることができた。
自由民主党
- ①理念・ビジョン:○ビジョンの方向性が一致でき期待が持てる。具体的である。
- ②政策の具体性:△目標や期限はわかりやすいが、工程や財源が具体的でない。
- ③政策の実現可能性:△目標ははっきりしているが手段が明確にされていない。
- ④市民との連携:△国民主体ではなく、国起点で見ている感じがする。市民と連携するような内容になっていない。
公明党
- ①理念・ビジョン:△方向性が理解しにくい。
- ②政策の具体性:△期限の記述はあるが、期限が長期すぎてすぐに具体的なイメージがわきづらい。
- ③政策の実現可能性:○身近なものから実現できそうと想像しやすい。
- ④市民との連携:○アンケートなどで国民の意見が反映されており、国民との連動を想定できている。
立憲民主党
- ①理念・ビジョン:△何がしたいかは書かれているが、どういうビジョンに基づいているかは書かれていない。
- ②政策の具体性:×期限が曖昧。
- ③政策の実現可能性:○実績をアピールするページがあるが、今後の実現可能性までは想像できない。
- ④市民との連携:△見やすさに工夫を感じ、伝えたいことがわかりやすいが、内容に具体性がなく不安が残る。
日本維新の会
- ①理念・ビジョン:△特定のターゲットが意識され、全ての国民に向けたメッセージがない。手段が主に書かれている。
- ②政策の具体性:×期限や工程が明記されていない。
- ③政策の実現可能性:△政策実施の人材への言及が少なく、ゴールも見えづらい。
- ④市民との連携:○社会保険料に視点を向けており、やりたいことが明確。市民に自発的な活動をさせようとする意欲がある。
国民民主党
- ①理念・ビジョン:○ビジョンの方向性が一致できる。それぞれの政策に目標値が書かれている。
- ②政策の具体性:○数値目標があってわかりやすいが、期限の明記がない。
- ③政策の実現可能性:△実現するための資源(リソース)が十分検討されていない。具体性はある。
- ④市民との連携:○政策を大きく1〜4に分け、見やすさに工夫を感じた。市民活動との連携が想定できている。
日本共産党
- ①理念・ビジョン:△一部分にビジョンがある。
- ②政策の具体性:×全体的に曖昧で何に力を入れたいのかがわかりにくい。
- ③政策の実現可能性:△見通しははっきり示されているが、実施する人に依存するだろう。
- ④市民との連携:×レイアウトが見づらい。抽象度が高い。
れいわ新選組
- ①理念・ビジョン:△一時的なビジョンがある。
- ②政策の具体性:○取り組む内容が明確で数年後がイメージしやすい。
- ③政策の実現可能性:○シミュレーションが載っており実現可能性を想像しやすい。
- ④市民との連携:△見やすいが、短期的なものが並ぶ。長期的な視点も必要である。
参政党
- ①理念・ビジョン:△日本人に限定したビジョンがある。
- ②政策の具体性:×内容に具体性がなく、何に力を入れたいかわかりづらい。
- ③政策の実現可能性:△人材や資材に関する内容が不十分。
- ④市民との連携:○1ページにまとめられていてわかりやすい。市民の自発的活動を推進していることを強く感じる。
社会民主党
- ①理念・ビジョン:△ビジョンの方向性に共感が持ちづらい。
- ②政策の具体性:△目標や財源は具体的だが、期限が曖昧。
- ③政策の実現可能性:○予算や制度に関する言及がある。
- ④市民との連携:×少数意見を尊重しているが、市民活動との連携は期待できない。
日本保守党
- ①理念・ビジョン:×具体的なビジョンがない。
- ②政策の具体性:×目標は明記されているが、達成までの工程が書かれていない。
- ③政策の実現可能性:×読んだだけでは政策実現のイメージがわかない。
- ④市民との連携:△何がしたいか簡単にわかるが、具体的ではない。
評価項目は下記の通りです。
- 理念・ビジョン
ありたい国の姿(理念・ビジョン・将来像)が示されているか / ありたい国の姿の根拠・着眼点が示されているか / 国家としての課題が捉えられているか - 政策の具体性
政策の目標・期限・実現方法(工程)・財源などが明示されているか / 達成度・成果の事後検証は可能か - 政策の実現可能性
目標・政策の実現可能性について、合理的な説明がされているか / 実行体制・実行プロセスは示されているか - 市民起点度
読み手に取ってわかりやすい工夫はされているか / マニフェストの配布・周知の工夫はされているか / 策定過程において国民の提案を組み込むプロセスを有しているか / 市民(個人や組織)の自発的活動を推進する動機付け(インセンティブ)が織り込まれているか / マニフェストに呼応した市民活動との連携を想定しているか / 異なる目的や視点で活動する市民活動同士の連携を想定しているか
点数算出:◎25点 / ○15点 / △5点 / ×0点で総合点を算出しています(100点満点)
このウェブサイトについて
- このウェブサイトは、早稲田大学デモクラシー創造研究所(旧早稲田大学マニフェスト研究所)によって運営されています。お問合せは早稲田大学デモクラシー創造研究所コンタクトフォームまで(担当:青木、山内)までお願い致します。
- 原則、マニフェスト本文から、掲載順に最大2点(2点に満たない場合は1点のみ)をそのまま抽出して掲載しています。
- 政党要件を満たす国政政党および比例代表に候補者を擁立している政治団体のうち、ウェブサイトで今回の選挙に際してマニフェストを発表しているもの(収集時点の2025年7月1日時点)を対象にしています。
- できばえチェックは、研究所が大切と考えるマニフェストの①理念・ビジョン、②政策の体系性・一貫性・独自性、③政策の具体性、④政策の実現可能性、⑤市民起点度の5つの観点から形式要件を採点したものです。政策内容の賛否について明らかにするものではありません。
- このウェブサイトは、参議院議員選挙(2025年7月20日投開票)において「#くらべてえらぶ投票」を広く呼び掛けるものであり、特定の候補者、政党等を支持することを呼び掛けるものではありません。
- 本サイトに掲載されている情報をご活用される場合は、出典明記のうえでご活用ください。できましたら、ご活用方法をご一報いただければ嬉しいです。
監修・制作:早稲田大学デモクラシー創造研究所
協力:一般社団法人Maniken